2007.04.30 那須疏水を尋ねる(その4)




■千本松牧場~那須野ヶ原公園付近




蛇尾川を越えてからの那須疏水は一路千本松を目指してひた走る。




やがて千本松浄水場がみえてきた。立地からして疏水の水で水道水を供給しているようだけれど資料がないので明確なことはいえない。




この付近はもう千本松牧場の敷地になる。観光化されたR400沿いのレジャーランドエリアと違って、普段はほとんど人も入らず静かな風景が広がっている。牧草地に一本だけ立つコブシの木はまるでCMにでも出てきそうな美人度だ。




こういう風景をみていると、明治期以降に開拓が進んだ農地としては北海道などと共通するような雰囲気を感じてしまう。こま切れではなくまとまった土地がなければこういう景観は成立しない。

那須野ヶ原の開拓農地は戦後GHQによる農地開放で随分切り刻まれてしまった。旧松方農場(現:千本松牧場)は田畑を開いて小作させたのではなく綿羊や馬の放牧などを一貫して行い、経営母体も法人格だったためにまとまった土地(831ha)が残ったようだ。




さてやがて那須野ヶ原公園入り口に到達した。那須疏水を挟んで北側が千本松牧場、南側が那須野ヶ原公園という位置関係になる。




休日だけあって公園内は人出も多いが、駐車場は半分程度しか埋まっていない。幹線(R400)沿いの千本松牧場(の表側)に比べたらまだまだ余裕のある憩いスポットだ。




いつものレポートならここだけで1テーマになってしまうのだけれど、今回は那須疏水が主人公なので詳報は省略することにしたい。




■第三分水、第四分水分岐点(本管終端)




さていよいよこの付近で那須疏水幹線は終端となる。ここからは第三分水、第四分水が分かれて那須西原を下っていくことになる。第三分水は西那須野市街方面、第四分水はさらに細分化してより南の領域を下る。

第四分水は当初、那須開墾社の加治屋開墾場に至る単独水路だった。しかし初代第四分水は那須開墾社の域内に配水するには位置が東に寄りすぎていたため、後に縦堀、西堀が追加で開削され、現在の姿に至っている。




ここが第三分水の分岐点。左側に流れていくのが第三分水、右側が第四分水である。那須疏水の幹線路はここが終端である。




さてここから先は 「より遠くに伸びる水路を追いかけろ」 ということで第四分水に沿って進むことにする。これはR400をくぐって農水省の草地試験場側に抜けてきた第四分水。写真だけでぱっと見ると幹線の頃からあまり水量が減っていないようにみえるが、水路幅が広いだけで水深はかなり浅く、流れも緩やかになっている。




水面には、上流から流れてきた桜の花びらが浮いていた。ん~~~・・・日本の風景だねぇ♪




R400を過ぎておよそ100m、加治屋堀(左)と西堀(右)が分水する。右側奥にちょこっと見えているのが農水省草地試験場の建物だ。 ここからは西堀に沿って進もう。



 

■西堀を追う




試験場敷地を流れ下る西堀の流れ。分水に分水を重ねて、ずいぶん細くなった感がある。




さて幹線とちがって分水になると、疏水に沿ってメンテナンス用の道路があるわけでもなさそうで、見失っては再発見する・・・という追いかけ方になる。とにかく頑張ろう。




千本松を過ぎると、いよいよ四区町である。那須開墾社の頃の区割りから地名になったもので、約10kmほどの短冊形の開拓地が南から順に一区~四区に区分けされている。現在では四区の北側には工業団地が造成されており、那須疏水は東北自動車道と工業団地をかすめて流れ下っていく。




高速をくぐった直後の那須疏水は、のどかにゆるゆると流れていく。ここからは未舗装ながらも平行して道路があるので追いかけやすくなった。まだまだ先は長い。


<つづく>