2008.11.21 佐久山の紅葉




佐久山城址の紅葉ライトアップが見頃だというので逝って参りましたヽ(´ー`)ノ



週末がヤボ用で潰れまくっている間に塩原の見頃が終わってしまったので、平地スポットとして佐久山城址を目指してみることにした。ちょうど下野新聞の一面で 「見頃だよーん」 と報じていたこともあり、どれ一丁偵察してみるかという気分になったのである。




佐久山は奥羽街道の宿場町である。那須七騎のひとつ福原氏の城下町でもあり、城の構築は文治3年(1187)というから源平合戦の直後くらいにまで遡る。

戦国末期に一度廃城となり、元禄年間に補修を加えて再び城として再起動、その後は明治維新までゆるゆると存続した。現在は城址公園となっている。ただし街道からは200mほど奥まった位置にあるため(※)、クルマで近くを通っても気が付かないで素通りしてしまう人が多い。史跡としての由緒が古い割に知名度がいまひとつなのにはそんな事情もあるようだ。

※城の防衛の都合上、街道と大手門は隣接させず距離を置いたものと思われる。さらに言えばここを領した佐久山氏は一応 「殿様」 ではあったけれども大名ではなく、国高3500石ほどの中堅クラスの旗本であった。




さて今回はライトアップ狙いなので、到着したのは日没直後。 公園内に踏み込んでみると、まだ残照の残る空に紅葉が浮かび上がっていた。




ここはモミジといっても塩原や那須の高山とは種類がやや違うらしい。葉の色づきはやや渋目で、昼間見る鮮やかさはちょっと微妙なところがあるのだけど、ライトアップの演出でなかなか見栄えのする景観になっている。



ライトの色は赤/青/黄とバリエーションさまざまに設置されている。赤以外のライティングって色演出としてはどうよ…と当初は思ってみたのだけれど、赤系だけでは単調になってしまうので他の色をいくらか混ぜるのはたしかにアリのような気がする。



暗いところに色づいた葉が浮かび上がると、構図によっては染め上げた反物の柄のように見えて面白い。……というよりも、柄を考えた人が何をみてインスピレーションを覚えたのか、どうやら筆者は追体験してるんじゃないかという気分になった。。



それにしても、これだけ見事な色具合なのに人はほとんどいない。ざっと見渡しても散策しているのは十人にも満たないのではないか。一応、出店は一軒だけ出ているのだが店番のおばちゃんとは少々暇そうにみえる。これだけ綺麗にライトアップしてるいのだから市の広報担当氏はもとちょっと宣伝したらいいのにな。




などと思ってウロウロしていると、おお、やはりカメラマンがいる。この人はしっかり三脚で撮っているけれど、筆者はヌルい写真道なのでカメラの感度に頼って手持ち撮影である。まあそのへんは、好き好きということで。




ちなみにこういう薄暗い時間帯+ライトアップの撮影では、カメラのオート露出はまったくアテにならない。ヒストグラムとプレビュー画面を見ながらマニュアルでちまちま補正していかないと白トビ/黒潰れはしょっちゅう出る。フィルムカメラに比べたらデジカメはトライ&エラーがなんどでも出来るから、このあたりは面倒がらずに調整していこう。




さて遠景ばかりでなくアップでも…と思っていろいろ撮ってみたけれど、ライトアップされた葉をアップにすると透過光で細かな傷や色ムラが目立ってどうにもうまくいかない。



やはり遠景気味に群としての葉の塊を捉えるのが、ここに適した撮り方なのかな。




ぱっと見ると真っ暗に写っている空も、実はまだ群青色に青みがかっている。それが暗く映っているのはライトの光源色と葉の照り返しが明るすぎて潰れてしまっているものだ。露出って難しいな(笑)




さて樹木ばかりでは変化がないので月などを撮ってみた。もちろん装着している18-200mmではもちろんこんな大写しにはできる筈はなく(→本来なら500mm以上が欲しい)、これはテレ端目一杯で撮った月をトリミングしている。印刷クオリティにはぜんぜん足りないけれど、まあWEB素材くらいには使えそうに思えなくもないかな。




そんな遊びに興じている間に、完全に日が沈んであたりは真っ暗になった。本日はこのへんで引き上げよう。




駐車場に向かいつつ振り返ると、ライトアップされた城山は光の島のように闇の中に浮かび上がっていた。

大都会であれば街の灯の圧倒的な光量に呑まれてしまう筈の小空間なのに、ここではそれが美しく映える。 風景は賑やかであれば良いというものではない。そんなことを教えられたような気がした。


<完>