2009.10.11 那須の紅葉 (その1)
そろそろ那須の紅葉の具合を見てみよう、というお話です( ̄▽ ̄)
さて熊谷に拠点が移って1ヶ月が過ぎた。気がつけばもう那須は紅葉を迎える頃である。そんなわけで、いつもなら自宅から 「ちょい」 と出かける山ではあるが、今回は熊谷からわざわざ高速に乗って訪れる…という不思議なアプローチで臨んでみた。午後には用事があるので午前中だけのショートアタックである。
熊谷を午前3時すぎに出発し、巡航速度XXXkmでかっ飛ばして5時には那須ICを降りる。そのまま那須街道を登って、料金所の営業が始まる前に有料道路のゲートを過ぎる。
山には雲が掛かっているものの、朝日が下から差し込んでくると山全体が赤く染まった。やはり…久しぶりに見る故郷の山は、いいねぇ。
遠く黒磯方面をみると、朝靄が地上を覆っているのがみえる。
こんな風景を見ながら缶コーヒーのひとつもゆっくりと味わってみたいね…などと、ゆったりとした気分に浸ったのもこの日にあっては束の間のことだった。
なんと、いつの間にか那須でもマイカー禁止の交通規制が敷かれていたのだ…!!
せっかく峠の茶屋まで上がったところで、駐車場に空きがあるにも関わらず 「満車だ、降りろ」 と理不尽に追い返され、なんと殺生石まで戻されてしまった。ここからバスに乗れ、とのことなのだが…午前6時というのは始発としてはどうにも遅すぎる。事前の周知も全然出来ていないし、誘導も滅茶苦茶で手際が悪い。これでは観光客は大迷惑のような気がする…というか、大迷惑だぞ。やいそこの責任者、お前の脳内エコロジーに一般人を巻き込むな!せめて事前リハーサルくらいやってから本番に挑めぇぇぇぇぇ~~~!
…と、地元の人間である筆者は叫びたくなったのであった。
一度は到着しながら追い返されて1時間後に再びバスでやってきた峠の茶屋。何度みても "満車" とは認めがたいのだが…まあ文句ばかり言っても仕方がないので気分を切り替えよう。
…すぱっ♪
■今日の主役は朝日岳
そんな訳で本日の主役、朝日岳を撮る。茶臼岳の映える姥ヶ平の紅葉は今年は異様に早く、聞けば9月26日頃にはピークを迎えてもう終了したという。それが本当なら季節は例年より一週間ほど先行している訳だ。
既にそれから2週間…今日のタイミングで狙うとすれば、姥ヶ平はもはや時期を逸している。狙うとすれば朝日岳の笹原の裾野と南面の崖くらいか。見ればまだ色の乗りはそれなりの状態を維持している。
ちなみにこの日、峠の茶屋付近は山越えの猛烈な風が吹いていて、ロープウェーは運行停止であった。山の上にはロングテールの傘雲がかかり、視界はよくない。いつもの駐車場下のポイントでしばらく粘ってみたのだが、どうにも具合は良くない。
そんなわけで全景ではなく部分景で紅葉の木々を撮ってみた。空の青さが無いのがアレだけれど、アップで見ればまあそれなりの様相だろうか。なんといってもこの時期の見所は、この笹原に浮かぶ紅い島状の紅葉である。
毎度毎度ながら、これを見ないと筆者の秋は始まらない。なにしろ子供の頃の一番遠い遠足の記憶がこの景色なのである。長らくどこに行ったかもすっかり忘れていたのだが、この緑に赤の点在する色彩だけは強く印象に残っていて、二十歳を過ぎてからたまたま紅葉の時期にここに来て 「ああ、これだ」 と思い出した。
そういうのを、きっと "原風景" などと称するのだろう。筆者の場合、幼い記憶には強烈な色彩の印象があるだけで特段哲学じみた思想がある訳ではない。芸術家や小説家であればきっとなにかしらのインスピレーションの源泉になったりするのかもしれないけれど、筆者の場合は 「また来たよーん♪」 という以上の行動に結びついていないので、芸術家への道は遠いだろうな。
それにしても、熊谷という観光的にはあまり絵になる大風景の無いところに住んでいると、こんな景観が身近にあるというのは実は凄いことなんじゃないか…という気分になってくるな。
さてしばらく雲具合と格闘(→ただ待っているだけ)した後、茶屋まで戻って一服した。もちろん早朝には売店は営業していないので、自販機で缶コーヒーを飲むだけである。
風はかなり強く25m/s以上はあるようで、ロープウェイの山麓駅では 「本日は強風のため運行中止うんぬん…」 との放送が繰り返し流れている。仕方が無いので登山道の方を上がっていくことにしよう。…とは言っても、本日は時間制限もあるので、視界が通る辺りまでちょこっと行って、そこで撤収する予定である。
30分以上もコーヒー休憩をとっていると、ようやく雲が晴れて来た。
よし今のうちに Hit & Away と行こう。
■登山道をちょこっとだけ登る
そんなわけで登山道に入ったのだが、いきなり大規模な工事をやっていて驚く。いつのまにか登山道脇にダンプカーの通れるくらいの道が切り開かれていた。…何の工事だろう。
クルマ規制の名目は渋滞緩和と自然保護だったような気がするが…これだけ派手に伐採+造成が行われていると猛烈にツッコミを入れたくなってくるな。
その造成のあたりから、峠の茶屋の裏山付近の紅葉が見通せた。
やはり早めに色づき始まったというだけあって風当たりの強いところでは葉が落ちてしまっているようだが、まだ "紅葉" といえる状態は維持されている。
吹きさらしの道に出ると、強風で歩きにくくなってきた。登山道付近はちょうど峰越えの風の通り道でもある。毎年風に煽られて滑落する者がいるので、こんなところではあるけれど、侮れない。
上空の笠雲は流されていったようで、いつのまにかすっかり晴れてきた。写真では分からないかもしれないが、雲は凄い勢いで流れている。そこをアリの行列のように登山者が登っていく。
この時間になるといつもなら有料道路は大渋滞になって缶詰状態になってしまう。今日この人たちは交通規制のおかげで登って来られたと思えば良いのだろうか。殺生石の駐車場が一杯になってしまえば結局渋滞ポイントの先頭が5kmほど下流になるだけで大局は変わらないように思うのだけれど、まあこの実験がうまくいったかどうかは、来年以降も同じ措置がとられるかどうかでわかるだろう。
そんなわけで朝日岳の見晴らしスポットにやってきた。昨年は立ち入り禁止のロープが張られていたけれど、よほど不評だったのか今回はベストポジション付近のロープは撤去されている。 頂上付近はピークをすぎたようで、3~4日前(=ちょうど台風が直撃)くらいが最盛期だったような気がするが、まあ満足すべき状況かな。
斜面のうち崖下のほうをアップにしてみると、それなりに色が映えているようだ。 吹きさらしの尾根は台風が来ると葉が落とされてしまうけれども、谷間は風当たりが緩和されるので葉が残りやすい。 今年のように台風直撃があった年は、高山よりも渓谷の紅葉スポットのほうが綺麗な紅葉が見られると思う。
峰の茶屋方面に目を向けると、こちらは風の通り道にあたっておりもう枯草色の世界。
・・・で、ふたたび北風が直接当たらない朝日岳の南東側の壁面にカメラを向けてみると、彼我の差でやはり風当たりの影響を感じざるを得ない。実はこれでもよく見ると全体の40%程度は既に落葉しているのだが、残った葉の赤さに救われてそこそこの体面を保っている。
さてとりあえず、これが撮れたところで下ることにするか…。
もう少し風が弱ければ、峰の茶屋くらいまで行っても良かったのだけれどな。
<つづく>