2010.02.07 地吹雪の那須野ヶ原
雪の那須野ヶ原~百村~深山湖を流して参りましたヽ(´ー`)ノ
週末の夜、那須に帰還すると世の中は一面の雪であった。
赴任先の熊谷では雪が積もるなんて年に1、2度あるかないかだけれど、こういう真っ白な世界をみるとやはり那須は山国なんだなぁ…などと思ってしまう。気温が低いのでクルマが通っても轍状に雪が溶けることも無く、真っ白な路面が続いていた。
その翌朝、あたりは一面の地吹雪となっていた。気温が低いままだと降った雪がサラサラのまま風に舞い、視界を遮るのである。
気象的に詳しい定義というのは知らないのだけれど、空からの降雪がない状態でも強風で広範囲に雪が舞い上げられていれば地吹雪と呼んで良いらしい。那須塩原市の平野部で見られるのは年間数回くらいの頻度(もちろん山に近くなれば増える)で、どちらかというと珍しい部類の景観になる。面白いのでせっかくだから深山湖あたりまで走ってみることにした。
そんなわけで那須塩原駅方面から埼玉の田園地帯を北上する。開拓農家の周辺には防風林が並んでいるが、開けた水田部などは舞い上がる雪で白く霞んで見える。
交通量の少ない田園地帯とはいえ、ちょっと風が強まるとすぐにホワイトアウトの状態になってしまう。クルマの運転には少々厳しい。
前方にゆるゆると走っているクルマを発見。
追突の恐れがあるのであまり近づき過ぎないように気をつけよう。…というか、電柱がないとどこが道路だかちょっと判別できないのがアレだな。
山側に寄って穴沢付近の牧草地にやってきた。那須野ヶ原の開拓農地はこの辺りまでで、百村の集落を過ぎると山岳道路になる。途中、ノーマルタイヤのまま雪道を走ってきて立ち往生してるクルマを散見した。こんな日はJAFが大繁盛していそうだ。
林間部に入ると風の影響は無くなり、風音はすれども雪が舞い上がることはほとんど無くなった。
木の俣川を見下ろすと…おお、見事な雪渓になっている。
ここから板室に抜けるとまた人里だが、遭えて山側に入って深山湖を目指す。積雪は40cmくらいだろうか。
日本アルプスほどの大絶景ではないけれど、このあたりの冬山具合は地味に味があると個人的には思っている。同じ那須山域であっても観光地化されて人がワンサカ来ているエリアと地味なエリアは明確に雰囲気が違う。本当の那須の自然が見られるのはむしろ過疎っているエリアの方だ。
やがて矢沢を越える。那珂川の支流のひとつである。本来川幅は十数メートルほどあるのだが、すっかり雪と氷で覆われて完全凍結目前といった様相だった。
さて谷底の道から高度を上げてダムに上がっていく。付近には塩沢山、西ボッチ山、鬼ヶ面山などが並ぶ。
そのままずんずん登っていくと、ダムの目前で除雪車が雪かきをしているのに遭遇した。実は今登ってきた道はこの除雪車のおかげで走ることが出来たのである。ここで積雪は60cmくらい。 さすがの X-Trail もボディ底面を越える深度の雪を踏破することは出来ないので、ゆるゆるとついていく事にした。
そして到着した深山ダム。林間部を抜けて吹きさらしの管理事務所前に出ると、猛烈な風をモロに受けるようになった。立っているのが少々厳しい。 奥に見えるのは大倉山である。
今は草木に埋もれてしまった会津中街道はあそこを越えて田島方面に抜けていた。冬季はほとんど通行止め状態だったようだが、よくもこんなところに街道を通したものだ。
あたりの雪原には一面に風紋が刻まれていた。写真では分かりにくいけれど、やはりここも地吹雪状態である。風に舞う雪が顔に当たって非常に痛い。
除雪車はさらに上流側の揚水発電所のあたりまで行くようだったが、とりあえずここで見送ることにした。
なにしろ、ついて行っても見てのとおり車幅いっぱい程度の溝の中なので、途中でUターンは出来ないのである。
そんな訳で深山湖を眺めてみた。ここは厳冬期でも完全凍結には至らない湖だ。それでも全体の2~3割くらいは氷が張って白くなる。
凍結した湖面には、独特の目玉模様がみえる。凍結にはムラがあって、じわじわとランダムに広がった氷面で最後まで残っていた水面部分が目玉のような模様になって閉じるらしい。ダム湖の上流側に行くともっと見事な目玉を見られるポイントがあるのだが、今日はそこまで到達するのは難しそうだ。
本格的な防寒装備をしていればもう少し雪と氷のオブジェなどを観察できたのだろうけれど、今回はここまでにしておこう。ヤワな格好で雪山に突っ込むと、だいたいロクなことにはならない。
そんな訳で、あっさり風味ではあるけれどおしまい~ ヽ(´ー`)ノ
<完>