2010.03.27 利根川堤防:菜の花ロードを行く(その1)
利根川堤防沿いに菜の花を見て参りましたヽ(´ー`)ノ
春先の寒波襲来で桜にはまだ若干早い3月末の週末、那須に帰省がてら利根川堤防を走ってみた。この付近は菜の花が堤防沿い一面に咲き、熊谷市の領域にかかるおよそ10kmほどに渡ってお花畑状態になっているのである。
いつもなら利根川は東北自動車道に乗って一瞬で通り過ぎてしまうのだけれど、この日は天気も良かったので気分を変えてシタミチをのんびりと走ってみたのであった。
■妻沼へ
そんな訳で熊谷の桜なのだが…ようやく気の早い枝にちらほらという感じで、まだ見頃とはなっていない。やはり今日は菜の花をメインディッシュにしたほうが良さそうだな。
さて熊谷市は特に大きな山や谷もなく平坦な土地柄である。R407に乗ればすいすいと利根川の刀水橋まで到達する。ここから左右どちらに折れても菜の花を見ることができる。
現在は市町村合併で周辺はみな熊谷市ということになっているが、このあたり(=利根川沿い)は昔は妻沼(めぬま)町という自治体で、その中心集落がこの橋の近くにあった。江戸時代には渡船場として栄えたようで調べると面白そうだが…まあとりあえずここでは花模様を優先しよう。
R407を通って南側から利根川にアプローチすると、河川敷のうち菜の花の綺麗な下流側は右折禁止で曲がれない。そんな訳で、今回は多少面倒ではあるけれど左折して橋から上流側の状況を確認して、その後下流側に引き返す…というやや酔狂なコースを進んでみることにした。
写真↑は、左折直後に振り返って見る刀水橋付近である。もうあたりは菜の花が咲いている。聞けば、人が種を撒いたのではなく自然に生えているものだそうだ。
そのまましばらく上流側に進んでみる。堤防はもう一面の菜の花畑である。
自動車道路と平行して土手の上をサイクリングロードが走っていて、クルマは一段低いところを走る構造になっている。これがどこまでも続いているのである。
土手の上に登ってみるとこんな感じであった。これだけ見晴らしがいいとMTBで走るのも悪くないな…などと思えてくる。
ちなみに堤防保護のため最上面へのクルマの乗り入れは河川法で禁止されているらしい。そんな訳でこの見晴らしを堪能しながら河川敷を走るには、徒歩か自転車によるしかない。…遠方から来る人にはちょっと条件が厳しいかな。
それにしても、サイクリングロードを自転車で通る人はいるにはいるのだが…正直なところ望遠で目一杯見渡しても数名くらいしか見えない。天気の良い休日の昼下がりでも、この程度の人口密度なのである。
河川敷から利根川本流をみると、実に広々としていた。河原は堤防の右岸~左岸でおよそ1kmあり、水流は場所によって広い/狭いがあるのだが大雑把に500mほどの川幅で水を湛えている。
菜の花は、至るところに咲いている。芦原の中ほどまで分布している黄色い帯をみると、やはり昔から自生しているものなのだろう。
これらの黄色い花々は十把一絡げに "菜の花" と呼ばれているが、その種類は多い。多くはアブラナの仲間である。河川敷など水に洗われやすい荒地には特に芥子菜(からしな)などが良く繁茂するという。
花のアップを撮ってみた。那須では5月の中旬頃まで咲いているが…ここの花はどのくらい保(も)つのだろう。花芽が伸びながら次々と咲いていくので状態がよければ1ヶ月くらいは黄色い絨毯が見られるはずなのだが…
R407から1kmほど上流に上り、おおよその状況はつかめたので引き返すことにした。
サイクリングロードを走るのも気持ちよいかもしれないが、こうしてみると一段下の自動車道路からみる菜の花も捨てがたいものがあるな。
空とそのまま繋がっている花風景というのは清清しい。しかも邪魔な電線がここには一切無いのである。
■妻沼ゴルフ場付近
R407を過ぎて堤防道路を進むと、河川敷に妻沼ゴルフ場が見えてくる。右岸~左岸が1kmほどもある河川敷で、右岸側の幅200m、長さ4kmほどがウナギの寝床のような細長いゴルフ場になっているのである。
まだ春も浅いためグリーンも枯葉色のままだが、ゴルフ客は結構入っているようだ。
このゴルフ場の下流側半分ほどから利根大堰の手前までの5kmほどが昭和30年代に整備された新規格の堤防になっているそうで、菜の花が一番綺麗なところらしい。
サイクリングロードへの上がり口(ゴルフ場への入り口?)を切り取ってみた。余計なものが何もない…こういうシンプルな景色はいいなぁ。
望遠で下流側に向かって菜の花の列を撮る。パンフォーカスで撮れればよいのだけれど…F11まで絞ってこの程度だった。 望遠気味に撮ると手前は少々厳しいな(笑)
この絵で奥行きは2kmくらいはあるだろうか…。これだけの密度と奥行きのある花畑というのは筆者はあまり見たことがない。これが自然に繁茂したというのだから凄いものだ。
これだけ壮観な花畑だが、調べてみると菜の花(特に芥子菜の仲間)は根を張った跡にミミズが繁殖し、それを追ってモグラが集まるので堤防の強度を維持するためにはあまり歓迎されないのだという。
旧建設省では昭和60年の前後に、"花の景色" などはそっちのけで毎年大量の除草剤を撒いて駆除に躍起になっていた時代があった。最近はどうなのかは分からないが、この状況をみると勝ったのは菜の花の方らしい。その生命力、恐るべし。
■グライダー練習場付近
ゴルフ場も南端側に近づいた頃、GPSで現在位置確認中らしいサイクリングおやじ氏を発見。ちょいとその姿を借景に…とカメラを構えた瞬間、異常に低く地面に突っ込んでいく怪しげな機体が目に入った。
まさか911テロごっこでもあるまいに(爆)…と思いながらよく見ると、どうやらグライダーらしい。そういえばゴルフ場の南側の河川敷には、グライダー専用の滑走路があるのだった。
堤防に登って河川敷を眺めてみると……おお、あれがそうらしい。
飛行場…と呼ぶには少々貧相な滑走路(約1600m)があり、遠目で少々分かりづらいが離陸の準備をしているらしい機体がみえる。あれをクルマで引っ張って飛ばすのだろうか。上空からこの付近をみると、きっと黄色い帯のように見えるのだろうな…
<つづく>