2012.02.05 雪の塩原温泉~鶏頂開拓(その2)




■鶏頂開拓へ




新湯を過ぎて料金所付近まで来ると、雪の量が目に見えて増えてくる。入り口は素通りで出口で料金をいただきます式なのは渋滞対策を兼ねているらしいが、筆者の懐が暖かくなる訳ではないのでスルーしてずんずん登っていく(笑)


 
午前9時を過ぎて日が高くなってきたせいか、山陰側にも日が差し込むようになってきた。降ったばかりの新雪に木々の陰が尾を引いていイイカンジだ。




その陽(ひ)の当たっている雪の表面をみると、雪の結晶が崩れずに原型を留めているのが見えた。大きなものは直径が3mmくらいもあって、接写の出来るコンデジなら綺麗に撮影出来そうだ。筆者は残念ながら一眼レフでマクロレンズを持ってきていないので、望遠で無理矢理撮影してこの程度。…ちょっとばかり、惜しい気分だな(^^;)

ちなみに平面状の雪の結晶に光があたると、ちょうど鏡のように太陽光をこちら側に反射する結晶のみが明るく輝いてみえる。これが、新雪特有のキラキラとしたラメ状の輝きのもととなっている。




静止画では分かりにくいかもしれないが、明るい雪道をクルマで進んでいくと、このキラキラ感がなかなかに美しい。




やがてスキー場をスルーして日光市側に入り、開拓地に抜ける脇道に入った。

圧雪気味ではあっても四駆でないとちょっと踏み込むには躊躇してしまいそうなモリモリ感(なんだそりゃ)でタイヤが雪を食(は)んで行く。周囲は鬱蒼と茂る落葉松(からまつ)の森になった。


 
そして突如として農地が開ける。鶏頂山の山麓に広がるこのエリアが "鶏頂開拓" である。

かつての会津西街道、高原宿跡(幕末に無人となった)を大幅に拡張して戦後の復員者が入植したところで、現在ではゆるやかな丘陵地が続く畑作地となっている。砂礫の多い痩せた土地柄で、水田はまったくない。


 
雪質は、サラサラのパイダースノーである。振ったばかりの新雪に朝日が当たって、その表面はやはりキラキラとした輝きを放っていた。風が吹けば、これが煙のように舞って風紋が刻まれていく。

ここは日中でも氷点下なので雪が融けてベタっとなることはほとんどない。この乾いた雪質が、平野部とはまた違った風情を見せてくれる。




開拓地そのものが標高1200mの高台にあるので、ここでは空と地平線が限りなく近い。耕作されている台地部分はせいぜい2~3km四方なのだが、周辺地域がみな標高が低いので視界に入らず、実際以上の広々感を味わうことができるのである。




それを俯瞰図で示すとこんな↑感じになる。東側にそびえる鶏頂山~明神岳のピークを除けば、北、西、南の三方とも周囲の地形は大きく落ち込んでいて、視界はほとんど遮られることがない。

まあ遠方10km以上の山々になるとさすがに頂上付近が視界に入ってくるけれども、それも開拓地の丘陵の起伏具合で見えたり見えなかったりする。これがカメラアングルによっては 「いったい此処は何処ですか?」 的な面白い風景として捉えられる訳だ。




そんな雪野原を1枚。

冬季、ここでは農作業は行われておらず、人々は近隣のスキー場に働きに出ている。そのため雪に覆われた畑には余計な足跡が付くことはほとんどない。まあ雪国の田畑なんてそんなもんだよ、といえばソレまでなのだけれど(笑)、荒らされていない新雪面というのはカメラマンにとっては魅力的といえる。




こちらは農家の建物。背景に余計なものがないので 「戦前の満蒙開拓団の風景ってこんな感じだったのかな」 というノスタルジー感が漂う。




都会の喧騒に疲れたら、こういう 「何もない風景」 のなかで風に吹かれてみるといい。きっと詩人になれることだろう。


 
さてこのまま何もしないでゆったりしていても良いのだけれど、せっかくなのでいつもの鬼怒川CCに行ってみよう。

ちなみに開拓地中心部から鬼怒川CC(=北側)を望むと日留賀岳~黒滝山のピークの連なりが見える。山までは距離にしておよそ10kmだが、雪を頂いた頂上付近のみが見えているので、なかなかにアルペンな雰囲気が漂う(´ー`)




反対方向(南)には、女峰山がみえる。日留賀岳ほどの冠雪状況ではないが、やはりアルペン的な風景だな。

…それにしても、日光よりは那須の方が雪は断然多いんだな(´・ω・`)




■スノーモービル




さてそんなわけで鬼怒川CCにやってきた。筆者はゴルフなんてちっとも嗜(たしな)まない癖に、どういう訳かこのゴルフ場にはよく来る(笑) …まあ用件といえば温泉に浸かるかスノーモービルに乗るかくらいなんだけどな(^^;)

見れば結構、人が来ている様だ。人数的にはクロスカントリーと犬橇(イヌソリ)が殆どを占めているようで、レストランも貸切になっているなど結構繁盛している。震災とか原発問題なんてもう誰も気にしていないようだ。




もう少し早く来れば樹氷でパリっとした感じの落葉松が撮れた気もするけれども、一応冬の定番アングルということで一枚撮ってみた。


 
さてそんな訳でスノーモービルをレンタルしてみる。以前のレポートでスノーモービルとは何か…ということは一通り説明済みなのでここでは詳細は省略しよう。




ということで500ccのマシンでトゥットゥル~…っと、走り出してみたのだが…むむ、走りにくい…?( ̄▽ ̄;)




今年は積雪が60~70cmほどもあって、しかも新雪が降った直後なのでスタックしやすいのである。…こりゃ~下手に遠出はしないほうが賢明かもしれないな。

ちなみにスタックというのはスノーモービルが雪に沈んで自力で動けなくなることをいう。クルマが砂浜でタイヤが埋まってしまうのと原理は一緒で、下地が軟らかいとこういうことが起こりやすい。脱出するにはソリ部分から雪を彫っていってキャタピラの接地圧をある程度稼いでから一気に発進するのだが…これが結構、疲れるのだw




仕方がないので、管理棟に近い2~3ホール分の周遊で抑えようと思ってトロトロと走ってみたのだが…




いつもなら雪面が綺麗なはずの2ホール目以降にも無数のキャタピラ跡が付いている。…こんなスタックしやすい雪質で先行者が大勢いるのか?




…と思って見てみると、走っているのは雪上車なのであった。

こんなのレンタルしてたっけ…と思って係員氏に聞いてみたところ、これは個人所有のものを持ち込み料金を払ってコース内を走っているものらしい。雪上車のキャタピラ接地面積はスノーモービルの比ではないので、これなら新雪面でも沈むことはないだろう。

…しかしアレって、いったい価格は幾らくらいするのかな(^^;)




見れば同じ型式のものが5、6台グループを組んで走っているようだった。持ち込みということはトラックか何かに積んで来るのだろうけれど、年間稼動日数と輸送の手間と維持管理費などを考えると…相当なお金持ちでないとこの趣味は続かないような気がする。

まあ人様の財布の中身をあれこれ想像しても空しいだけなのだけれども(笑)、世の中には凄い人たちがいるものだな。




ということで、あまりスノモ日和とも言いがたい状況なので、本日は早めに切り上げて引き上げることにした。

ちょっと勿体無いけれど、走っているのか脱出用に雪を掘っているのかわからない状況というのは、さすがにいただけない(笑) …というか、これは息が上がるぞ、マジな話で…(^^;)=3


 
早々に撤退して一休み。これは帰還した状態の車体。スタックしまくったお陰で雪だらけになってしまったけれど、相手がやわらかい雪なので傷などは付いていない。その点は気がラクな乗り物だ。


 
そんな訳で、缶コーヒーで一服した後に本格撤退。

いやー疲れたw


<完>