2014.07.26 塩原化石探訪:前編(その1)




地元の化石ポイントを見て参りました (´・ω・`)ノ



さて今回は、夏休みネタということで那須塩原市の塩原地区で化石探訪をしてみた。栃木県は知る人ぞ知る化石の産地で、筆者の住んでいる那須塩原市にあっては塩原地区に良質の化石がみられる。時代区分は2000万年前から20万年くらい前までで、古い時代のものは海底の貝の化石、新しい時代のものとしては木の葉石が有名である。

といっても化石というのはなかなか素人には採掘がむずかしく、子供とお手軽に(そして安全に)化石探訪をするなら木の葉化石園に行くのが最も手っ取り早い。今回の探訪はその化石園を最終目的地に、大黒岩、妙雲寺、小太郎ヶ渕を順次ゆるゆると巡ってみよう。




■ 大黒岩




さてそんな訳でさっそくいつもの如く那須塩原駅を起点に走り出してみる。行先は金沢にある大黒岩である。




大黒岩は塩原ダムの下流1kmほどのところにある断崖で、正式には大黒岩化石層群という。人によっては "関谷の大黒岩" と表現する人もいるのだが、箒川の右岸(西側)は金沢に属するので現地で場所を尋ねる場合は注意されたい。化石の露頭は地質学的には鹿股沢層と呼ばれており、時代区分は新生代第三期中新世中期、いまからおよそ1200万年くらい前の海底の地層だ。




那須塩原駅方面から r30 を関谷方面に進み、そのまま箒川の橋を渡ると、塩原ダム方面に行く道が出現するので右折する。このあたりは塩原渓谷の末端から那須野ヶ原に抜ける地勢で、扇状地の最上端からほんの少し渓谷に入ったあたりに小さな公園があり、さらにその上流に上っていく。




この道はそのまま進むと塩原ダムに至り、もみじ谷大橋の南端に出る。ただしもみじ谷大橋へのアクセスルートとしては圧倒的にマイナーで、ほとんど知られていないのではないだろうか。




川沿いに2kmほど行くと短いトンネルがあり、そこを抜けて100mほどで小さな表示がある。ここが大黒岩の入り口になる。




…といっても、駐車場もないこんな場所なので、注意していないと見落とす可能性は大であるw




細い道を降りていくと、小山のような岩塊がある。これが大黒岩らしい。「らしい」 というのは、どこからどこまでが大黒岩なのか筆者にはよくわからないからだ。




というのも化石を含んだ地層はこの付近に厚さ10mくらいの層になって広範囲に広がっており、箒川によって浸食された崖面一帯が化石の塊になっていて、"ここまでが大黒岩です" という明快な境界がある訳ではないのだ。



そんな訳で、筆者的にはひとまず天然記念物の標識のある小山の部分を大黒岩と認定しておきたい。




さて小山には踏み跡がいくらかあるのでそこから数mほどよじ登って、岩肌を見てみた。すっかり苔むして木が根を張っていたりするのだが、1200万年前は海底だったという地層は大量の石を含んだ礫岩になっている。




おお、たしかに貝殻の化石が見えるな…。 こんなのが、一面にびっしりとみえる。ただ綺麗な 「丸ごとホタテガイ」 みたいな化石ではなく、貝殻の破片が大量に積み重なった…という印象かな。




解説版によると、浅い海底の谷間のような部分に貝殻が流れ込んだものとあり、まるごと綺麗な化石はそう多くないらしい。…うむむ、そういうものなのか。




厚さ10mというからには、箒川の河原まで降りても化石はあるのだろう、ということで崖下まで降りてみた。




付近は礫岩の一枚岩で、箒川の浸食によって削られた崖面がみえる。この崖全体が、化石の塊になっている。




…といっても、まるごとゴロンではなく、すっぱりカットされて断面が見えている状態。

しかしそれなりに貝の形は保っているようにも見え、これを丁寧にトリミングしたら見栄えのする化石が出てきそうな気がする。




足元を見ると、おや…浸食されて剥離した化石が水に沈んでいる。ちょっと手が届きそうになかったので拾いはしなかったけれども、河原の石に混ざって転がっているものも多そうだな。




河原の中ほどにも、化石を含んだ岩塊があった。




表面はあまりきれいではないけれど、大量の貝殻を含んでいる。




そしてその周辺には、こんな化石のかけらがごろごろしているのである。

とはいえ一応これらは天然記念物ということになっているので、筆者は持ち帰るのは控えて "見るだけ" にとどめた。放っておいても台風などでどんどん流されてしまうんじゃないの的なツッコミはごもっともなのだが、「持って帰ったところでどうするの」 というこれまたごもっともな真理もあるのである。


<つづく>