2016.07.30 那須高原の牧場地帯を行く(その2)
■ 高原を行く
さて食事を終えたらもう少し牧場地帯を走ってみよう。
…と、その前に一応愛車の写真も残しておくとしようか(^^;) 日の光が当たるとニッサンの悩ましいチタニウムカーキの色がちゃんと出てくる。これを黒だなんていう不届きな奴は成敗だ(違 ^^;)
敷島ファームを出てからは、r68界隈をさらに北上していく。あたりは実にのどかな雰囲気であふれている。対向車はほとんど走っておらず、遠くには蝉の声が響くばかり。こういうところでは、窓を全開にして走るのがいい。
気温は27℃。ラジオでは熊谷や伊勢崎が35℃と言っているので、まあ充分避暑地としての冷涼さは堪能できているといっていい。風は爽やかだ。
不思議なことに、都会の人達はこういうところには来ない。
混雑するところ=良いところという認識が強いのか、那須街道沿いの有名なレジャー施設にばかり向かって渋滞を耐え忍ぶ人が多いのである。筆者はもったいないことだと思っている。これだけレジャーが多様化した時代なのだから、もうすこし発想を自由にすればいいのに。
信号のない道で、何ものにも遮られずクルマを流していく。ただそれだけのことが、この同じ青空の下、選んだコースによって出来たり出来なかったりする。理不尽だけれども、現実だ。
こんなとき、筆者は自由を選びたいと思う。
だからこのコースを走っている。
走り心地は…
もちろん、最高に決まっているじゃないか♪
ヽ(´ー`)ノ
■ 那須フラワーワールド
さて筆者が次にやってきたのは那須フラワーワールドであった。福島県まであと2kmという県境ぎりぎりにある観光施設で、最近筆者は地味にここをよく訪れている。
地図をみればわかるようにここには平地はなく、ゆるやかに連続する丘陵が幾重にも続いている。こういうところでは水を引くのが困難で、ゆえに水田はつくられず、広大な牧草地が開かれて畜産業が興った。フラワーワールドはそんな丘陵の一角を花で埋めて観光地にしようという試みのひとつである。
付近にはコンビニやドライブインが無いため、ここは実質的に街道沿いの休憩所のような役割を果たしている。筆者も半分くらいはそのつもりで立ち寄っている。
残念ながら7月末はここはちょうど花期の谷間にあって派手な花風景はみられない。いちばん広い面積で植えられているのは鶏頭(ケイトウ)で、これが満開になるのは盆休みの前後になる。それ以外ではサルビアがそろそろ見頃になりかかっていたが、いくぶんまだ早いようだった。
それでもわざわざ訪れた目的は何かといえば、ユリの花具合に期待したのである。
今年は梅雨明けが遅く、ニッコウキスゲが満開となる7月上旬に山に出かける機会がなかった。そこで代用といってはアレだけれども、似たような姿のユリの群落を見てみたかったのである。栽培面積はガーデン全体の2割くらいでしかなかったけれども、花具合は良好だった。
那須山塊を背景にするとこんな景観である。相変わらず雲は多いけれども、それでも午前中に比べるとやや視界は改善してきたような気がする。
これならもう少し山寄りに進んでも大丈夫かもしれない。ソフトクリームで涼をとったら、ゆるゆると行ってみようか。
■ 牧場地帯を縫っていく
ソフトクリームでは少々足りなかったのでさらにコーラで水分を補給(^^;)したのち、筆者は牧草地を縫ってゆるゆると流して行くことにした。本日は明確なコース目標がある訳でもなく、敢えて脇道にそれながらの移動である。
辺りには見渡す限り誰もいない。このフリーダムさ加減、…いいねぇ ヽ(´ー`)ノ
途中、酪農家が牧草ロールを運んでいる場面に遭遇した。
余談になるけれども牧草というのは成長がとても速く、芽が出て2か月もすれば刈取りができる。だから春~秋の間に3回くらいの収穫期が巡ってくる。酪農地帯の収穫サイクルというのは存外に忙(せわ)しい。
刈った牧草は天気がよければ3~4日もすると乾燥して枯草色になり、これをロールにしてサイロに入れておくと適度に発酵して牛馬のよい飼料になる。そして一週間もすればまた次の牧草の芽が伸びてきて、ふたたび緑色が復活してくるのである。
もう少し山側に寄ると、かなり青々とした牧草地が広がっていた。草丈は低く、一旦刈られた後にまた新芽が伸びてきているようだ。こうしてみると一口に牧草地といってもいろいろな顔があることがわかる。注意してみてみると、なかなかにおもしろい。
■ マウントジーンズスキー場
さて、そんなこんなでいよいよマウントジーンズスキー場までやってきた。微妙に日も傾いてきているので本日はここでゴンゴラに乗って遠景を眺めてフィニッシュとしようか。
マウントジーンズスキー場は三本槍岳から続く中大倉尾根の末端にあたり、国土地理院の地図には名称がないものの地元では "中大倉山" と呼ばれるピークの東麓に広がっている。
ゴンドラの最上部(1417m)にはささやかな園地があって通年で登ることができ、茶臼岳(1915m)、朝日岳(1896m)に比べると低いもののそれなりの山の風情を感じることができる。直線距離で2kmほどの那須ロープウェイ周辺が殺人的な混雑具合で大渋滞するのに比べ、ここは別世界のように静かなのが特徴だ。
…というか、本当に別世界みたいに静かだな(^^;)
それはともかく、さっそくチケットを買ってゴンドラに乗ってみよう。いざ出陣~♪
ごんごんごんごん・・・
ごんごんごんごん・・・
ごんごんごんごん・・・
5分ほどであっさり山頂に到着。山麓~山頂の標高差は470m、気温差は約3℃になる。山頂の気温は24℃あまりで、とても過ごしやすい涼やかな気候だった。
山の上はもっと雲が多いのかと思っていたら、意外に日差しがあってラッキーだった。相変わらず人影はなく、ほとんど風景を独占しているような感じだ。…いいのか、これ(^^;)
多少のフォローをしておくと、ゴヨウツツジの最盛期(6月)にはここも人混みで結構な混雑になるのである。しかし花の季節が過ぎると、やはり茶臼岳の圧倒的な集客力には力及ばず…といった感じになってしまう。避暑地としてはそう悪くないと思のだけれどねぇ…
そんな足元に、リンドウが咲いていた。これはエゾリンドウかな。花期は9月頃だと思っていたけれどもう咲いているんだな。
そのまま、園地の突端まで行ってみた。茶臼岳を望む位置にちょっとした展望台があるので昇ってみよう。
正面に茶臼岳、右奥側に朝日岳、右手前にドーンと見えるのが鬼面山である。左下の明礬沢渓谷の崖面には噴煙が立ち上っているのがみえた。
あれは、奥ノ沢温泉だ。以前那須硫黄鉱山について調べたときに峠の茶屋方面からアクセスしたことがあったけれど、こちら側からも見えるのだな。
かつての殺生石の再来のような噴気地帯が崖面に広く分布して、あそこから引いた湯が近隣のホテルや旅館などの内湯として供給されている。結構な観光資源になりそうな素養はあるのに、まだ誰も本気で開発していない不思議な一角だ。
これを確認できたところで、本日の物見遊山は一区切りとしよう。
そんな訳で、あまり起承転結がハッキリしなかったけれども今回のレポートはここまでである。
最後にちょこっとだけ付け加えるならば、一般に夏の観光地は混雑するものだと思われているけれども、そうとは限らないことを改めて強調してみたい。ほんの少し条件をずらしてやるだけで、実はかなりの自由度で動くことができるのは御覧のとおりである。
渋滞のない夏の那須高原…なかなか悪くないチョイスだと思うのだが、如何であろうか♪
<完>