2016.10.10 那須:姥ヶ平の紅葉(その3)
■ 姥ヶ平
ということで、にわかに雲が増えてきていることもあり、さっそく降りていくことにする。
あたりの木々はそこそこに染まっている。赤色の立ち上がりはこれから本格化するようで、まだ幾分オレンジ気味を帯びているけれども、友人知人に 「紅葉を撮ってきたよ!」 と報告するには必要十分なレベルだろう。
ただ遠景を狙っているカメラマン氏に話を聞いてみると 「今年は葉っぱが落ちてるね~」 と残念がっていた。
木々の枝先に注目してみると、たしかに半分くらい葉が落ちているみたいだ。
これは8~9月に台風が集中した影響らしい。気象庁の記録を見ると今年はこの2か月間に上陸6個+近接4個という合計10発コンボで台風がやってきた。特に盆明け以降はほぼ毎週上陸しているような状態で、先のカメラマン氏によるとこの間に山が荒れてしまったらしい。
ちなみに昨年(2015)の同じ場所はこんな感じ(↑)だった。2015年は台風の直撃が1回もなく、さらには極端な気温の乱高下もない "紅葉にやさしい秋" だった。こういう年は葉もフサフサと茂って鮮やかな紅葉になるらしい。改めて見直してみると、昨年は紅葉の大当たりだったのだなぁ。
翻って今年は、例えとしては微妙だが薄毛のおっさんがパンクファッションで頑張って髪を染めたような印象の紅葉になっている。
・・・とはいえ、これはこれで自然の為せるワザであり、良いとか悪いとか言っても仕方がない。筆者としては、生き残って最後の一華を咲かせた葉を、なるべく男前に撮ってやろうと思う(^^;)
さていよいよ姥ヶ平に降りてきた。・・・おお、やはり人が多いねぇ。
雲が厚くなってしまったので、ゆったりと休憩しながら "雲待ち" をしてみた。結局山頂まで綺麗に見渡せるタイミングは得られなかったけれども、ひとまず定番のアングルでワンショット。
ついでに噴煙と紅葉のアップも撮ってみた。明治時代の噴火ではあそこから火砕流がこちら側に下ってきて、那珂川を一時期硫酸の川に変えてしまった。それが復活して植物が徐々に登っていく途中過程が、いま見ている風景ということになる。
■ サブミッション:ひょうたん池へ
さて予定していたミッションはひとまずクリアした。しかしそのまま帰ってしまうのは勿体ないので、ひょうたん池くらいは見ておこう。
実はこの周辺には小規模な池塘がいくつも点在している。地形の起伏があるので沼原湿原みたいな面の広がりはないものの、いくらか泥炭層は形成されており、神様の気まぐれで湿原になり損ねたようなところなのだ。
その池塘の親分みたいな位置にいるのがひょうたん池である。どこからも川が流れ込んでいない不思議な水溜りで、このような池は高層湿原の泥炭層にできやすい。川の代わりに周辺の泥炭が水を含んだスポンジのようになっていて、干上がることない池を維持しているのである。
本来ならここで青空をバックに逆さ那須・・・と洒落込みたかったところだが、雲は晴れそうになかったのでこんなショットで我慢(^^;)。まあ天候ばかりは個人の努力ではどうにもならない。また条件の良いときに来ることとしよう。
ということで、この後は雲が厚くなるばかりだったので撤収。
…ひとまずは、秋の始まりを確認したということで ヽ(´ー`)ノ
<完>
■ あとがき
毎年恒例の儀式?のような感じなのでとりあえず今年も登ってみた姥ヶ平ですが、今年はそろそろ駐車場事情が臨界点に達して、ひとつの節目を迎えたかな・・・という感じがします。前日夜半のうちに峠の茶屋駐車場が埋まってしまう現状では、もはや紅葉ピーク時の週末登山は無理だろうというのが正直な感想です。
茶臼岳周辺の駐車場スペースは昭和40年代から基本的に増えていないので、そもそも収容キャパシティに余裕はありません。そこにどんどん人が流入して、前日から準備万端でスタンバイできる層だけが有利なポジションを得られるようになっていたのが最近の傾向でした。
・・・などと書くと 「それってどんな層なのよ?」 とツッコミがありそうですが、ありていに言うと時間に余裕のある定年退職組が多いような印象を筆者は持っています。暇が有り余っているなら平日に来てくれれば良さそうなものですけれどね。
今年の大きな特徴は、ロープウェイの駐車場が徹夜早朝組の完全排除に動いたことです。最近はロープウェイの駐車場にタダで長時間クルマを停めて、ヘッドライト装備でさっさと徒歩で(=ロープウェイには乗らずに)入山するフリーライダーが増えすぎて、さすがの東野交通も 「こいつらは客じゃねぇ!ヽ(`◇´)ノ」 という経営判断に至ったようです。
・・・まあ、いつかはこうなるだろうとは思っていたのですが、さすがに仕方のないところでしょう。筆者は来年は、休暇をとって平日に来るか、行き先を変えようかと思っています。
ところで行き先を変えるってどうすんねん、とツッコミが入るかもしれませんが、姥ヶ平にこだわらず紅葉に染まる茶臼/朝日を見たいというだけなら中大倉尾根から遠景で見るという手段もあります。こちらはマウントジーンズスキー場のゴンドラで尾根に上がってしまえば比較的簡単に視界が通ります(上記写真は本レポートの翌週10/16の撮影)。ここからだと姥ヶ平に到達するには清水平~朝日岳~剣ヶ峰を経由することになり、ロープウェイコースに比べると3倍以上歩くことになりますが、まあそのへんは根性次第でしょうか(笑) 他には修験者の気分になって行人道を登るという道もありますが・・・これはあまり考えたくないな(^^;)
ともかく、ちょっとばかり作戦変更が必要になってきたので、追々対策は考えていこうかと思います。
<おしまい>