■2005.07.28 福島県:舞子浜 (その2)
■ 永崎
小名浜港を出てからは、r382に乗って海岸沿いを進んでいく。目指すのは塩屋崎灯台である。
途中、永崎の海水浴場に立ち寄ってみる。
時刻はまだ7:40・・・夏休みの真っ只中ではあるけれど、まだ海岸にはあまり人が出てきていない。
砂浜に降りてすこしばかり散策してみる。あたりを見渡しても人影はなく、朝の散歩で犬を連れて歩いたらしい足跡がひとすじ見えるのみ。
砂浜には、波の後が帯状の濃淡となって残っていた。黒く見えるのは砂鉄だ。波打ち際で巻き上げられた砂が、比重に応じて沈殿する位置を変える……川筋の砂金取りと同じ原理で、こんな模様ができあがる。
人の多い海岸だとこれがすぐに踏み荒らされてわからなくなってしまうけれども、首都圏から適度に離れていることでこういう景観が見られるのはよいものだな。
ほとんど無風に近いので風の音はせず、あたりには波の音だけが静かに響く。
このあたりは沖合まで砂地が薄く広く広がって、遠浅の海岸をかたちづくっている。こういうところだと波は 「ザブーン!」 とは来ないで 「ざわわわわわ…… というウィスパーボイス調の音で押し寄せてくる。面白いものだ。
おお、見ればサーファー氏がいた。東京圏だと海水浴客とサーファーは共存が少々難しいところだけれど、ここでは人口密度が低いので問題にならない。朝のうちならほとんどプライベートビーチみたいなものだろう。
■ 塩屋崎灯台
永崎からさらに住宅街の細い路地を抜けて、ゆるゆると進んでいく。
走りはゆるゆるとしたものだが、対向車もいないし信号もほとんどないので移動はスムーズだ。そんな訳で灯台下の駐車場に着いたのは、午前8時。
それにしても……混雑とは無縁のひろびろスペースだな。
とりあえす塩屋崎灯台の写真を撮ってみるのだが……
営業開始まではたっぷり1時間ほどもある。うーん……さすがに1時間待ちは厳しいか。今日のところは灯台の外観だけ眺めるのがせいぜいか。
ちょうど売店のシャッターが上がったので、ペットボトルお茶を買いながら 「人がいませんねぇ」 などと話を振ってみた。
店のおばさん曰く、ここはそんなに朝早くから人は来ませんよ、とのこと。福島県の人々ののんびりとしたサイクルの生き方は、首都圏のそれとは全然ちがう。筆者の住んでいる栃木県北部もまあゆるゆるとした部類の筈なのだが、こちらのほうがさらに一段とゆるいようだ。
売店前には美空ひばりの歌の碑がある。歌謡曲 「みだれ髪」 でこの岬が謡われたことを記念するものだ。記念碑には謎のボタンがあり、せっかくだから……とぽちっと押すと歌が流れ始めた。
♪ 髪のみだれに手をやれば
紅い蹴出が風に舞う
憎や恋しや塩屋の岬
投げて届かぬ想いの糸が
胸にからんで涙を絞る
ん~~昭和の歌謡曲だねぇ。 この曲は美空ひばりの晩年のもので、昭和もあと2年を残すのみという1987年に発売された。昭和の頃にはいわゆるご当地ソングというジャンルがあって、特に 「○○岬」 というのは歌詞に織り込みやすく使いやすい人気のフレーズだった。
それが今や古典となってそのご当地で生きている。なかなかに不思議なものだと思う。
さて一曲堪能したのちは、灯台がオープンするまで待っているのもアレなのでふたたび走り始めることにした。
ここから先が、景観のすばらしい海岸ルートである。
<続く>