2009.09.27 穂高神社奥宮:上高地 (その1)
前回の続きです~ヽ(・∀・)ノ
さて穂高神社で例大祭の前夜祭を見た後、松本で一泊してさらに上高地を目指すことにする。ここには穂高神社の奥宮がある。せっかく安曇野まで来たのだから本宮とセットで見ておこうという次第である。
■上高地への道
さてそんなわけで御前6時前に松本を出発した。山に向かうには遅すぎるスタートだけれど、さすがに前日の高速3時間+立ちっ放し8時間は少々疲れた。まだまだ 「歳じゃのー」 などとは言いたくないけれど睡眠時間は確保せねばならない(笑)
松本から上高地に向かうにはR158を西行する。そのまま行けば乗鞍岳を巻いて飛騨高山に達する道である。そこを乗鞍岳のすぐ手前で梓川に沿って北に向かうと上高地に至る。
…と、こう書くといかにも近そうな感じがするが、松本から上高地までは50kmほどあり、穂高を起点に勘定すれば65kmにもなる。65kmという距離を首都圏に当てはめると、東京ディズニーランド(千葉県浦安市)を出発して東京~川崎~横浜~鎌倉を経由して湘南(江ノ島)あたりまで行ってしまう。本宮から奥宮までこんなに距離のある神社というのも珍しいというか、穂高神社のスケールというのはなんとも大きい。
その上高地の立地を図に示すと↑このようになる。梓川の穿った渓谷のうち大正池から上流側10kmほどが、最大幅1km程度の細長い堆積平野になっており、この一帯が上高地と呼ばれている。
安曇族が定住した飛鳥時代の頃(あるいはもう少し遡るかもしれないが)、彼らの氏神であり祖先とされる穂高見神の名をとって、この上高地の奥にそびえる山が穂高岳と名づけられた。上高地とはその麓にあって、古くは 「神垣内」 「神河内」 あるいは 「神降地」 の字が当てられていた。文字通り、この地は神域として歴史に登場したのである。
しかし白村江の戦いという歴史的事件に絡めて語られる安曇族の物語以降、この地は文献上からその存在を消してしまい、長らく空白の時代が続いた。ふたたびここが文献に登場するのは、江戸期に入って松本藩が森林経営に乗り出してからである。これについては後で述べよう。
さて松本から1時間ほど山道を走ると、沢渡(さわんど)に到着する。ここから奥には自家用車は入れない。環境保護を名目に現在は交通規制が行われており、バスでの輸送に切り替わっているのである。
※厳密にはもう少し奥の平湯温泉あたりまで行くことができるのだが、駐車スペースの都合で沢渡で乗り換えることを強くお勧めする……と、ホテルのフロント係氏が主張していたので今回はそれに従った。
そんなわけでバスによっこいしょ……
うーん…なんとゆーか、普段四駆で自由に野山を駆け回っていると、こーゆーのは何だか箱庭旅行みたいでちょっとばかり違和感があるかもしれない。
バスの道中は、当たり前の話だけれど途中でシャッターを切るために止まってくれる訳もなく、連写モードでガンガン流し撮り…という漢仕様での撮影となった。公共交通機関というのはこういうところが不便といえば不便である。
途中、なにやら川に温泉が湧いているような場所を通過した。今回は時間の都合でパスしてしまっているけれど、こあたりには沢渡、白骨、平湯などの温泉郷がある。もしこんな湧き湯があちこちにあるのだとしたら、真っ直ぐ通過してしまうのは何とももったいない気がするな。
しばらく行くと焼岳が見えてきた。穂高の南側にそびえ、この周辺の地勢を作った火山である。最近では大正時代の噴火で泥流が梓川を塞き止め、大正池が出現している。
その大正池がこれである。バスから全景が見えたのはほんの一瞬だったが、湖面は鏡のようであった。 もう少し雲具合と光線具合に恵まれたら湖面に映る穂高連峰のいい絵が撮れそうなんだけどなぁ。
車内アナウンスでは 「大正池を見るなら朝のうちですよ」 という趣旨のことを言っていた。どうやら日が高くなると観光客が猛烈な勢いで押し寄せてきてバスが満員になってしまい、途中の大正池停留所ではもう乗ることができない(一度降りたらもうバスには乗れない=引き返すしかない)という冗談のようなことが起こるようだ。…いったいどれだけ混雑するというのだ?
沢渡から30分ほどかけて、ようやく終点バスターミナルに到着。登山客は脱兎のごとく登山道に走り、筆者は山のてっぺんに上る訳ではないので比較的余裕でゆったりと歩くことにする。
脱兎のように走る気持ちはよくわかる。登山では早朝に行動開始するのが鉄則なのだが、交通規制があるので上高地に早朝から入るのは難しいのである。バスの始発も沢渡発 05:40 で、松本から公共機関で入ろうとすればその時間に沢渡に達するのも難しい。
結局、前日にターミナル付近の宿泊施設に入るしか方法はなく、それもバスの運行している昼間に来なければならないので時間的ハードルはさらに高くなる。ためしに帝国ホテルの一番安い部屋を調べてみたら一泊 30000円……貧乏人としては天に向かって FREEDOM!! と叫びたくなりそうだ。
※山小屋はもっと安く泊まれます
さて筆者はというと、いくぶんゆったりと付近を散策している。とりあえずまだ7時半を少々過ぎたくらいであるし、行き先も比較的近い奥宮=明神池だ。昼過ぎには戻って来られる筈なのであわてる必要はないだろう。
バスターミナルは結構広い。登山拠点らしく施設はいかにも頑丈そうに作ってある。売店も充実していてちょっとしたコンビニのようだった…というか、山岳地にしては充実しすぎだな。 僻地には僻地なりのモノ不足感がないと都会と変わらんのじゃないか。
せそれはともかく、せっかくなので缶コーヒーを一本飲み干して気合を入れることにする。
さて。それではいよいよ出発だ。
<つづく>