2015.05.05 那須野ヶ原の新緑を眺める(その2)
■ 木ノ俣地蔵
引き続き一本道のr369を下ってくると、深山隧道(トンネル)を抜けて木ノ俣地蔵園地に至る。現在クルマが通行できるのは深山ダム建設時に作られた隧道ルートで、岩盤を水平かつ直線的に抜けている。
しかしここは江戸時代には勾配の急な峠道で、今はダムの底に沈んだ旧道を経て三斗小屋宿に連絡していた。会津中街道が開削される以前の猟師道であったとの話もあるが、どこまで時代を遡るのかはよくわからない。
この旧道沿いに、木ノ俣地蔵のお堂が建っている。久方ぶりに、立ち寄ってみすとするか。
駐車場の周辺にあるツツジやサツキは、ちょうど咲き始めのところだった。もうあと3~4日もすれば満開になりそうかな。
傍らには八重桜。もうずいぶんと葉が伸びてきているが、まだ花の勢いはある。
地蔵堂まではここから160mほど参道を登る。5分もあれば登りきれるので、ちょこっと踏み込んでみよう。
参道は明るい森のなかを伸びている。この道は自動車道路(r369)が旧道より下側を通ることになったので、昭和40年代にお堂までのアクセス路として作られた比較的あたらしいものだ。しかし既に半世紀ほどを経過して、いい感じに詫び寂び感をまとうようになっている。
登りながら周囲を見回すと、山菜が大量発生していた。この距離感だとすっかり伸びてしまった株ばかりが目立つが、根元付近には無数の新芽がある。
皮肉なことだがこれらは4年前の原発事故の副産物だ。放射能の恐怖が盛んに世伝された結果、山菜を採る人が減って資源が急回復しているのである。現在は商品として流通しているものはほとんどなく、地元民が自家消費用に少量を採っているに過ぎない。
それはともかく、何が採れるか見てみよう。こちらはゼンマイ。
これはワラビ。
これは…コゴミでいいのかな? …ちょっと自信がないけれども。
さて山菜談義はともかく、まもなくお堂に到達。…といっても、ここで特にすることはない。一息ついて、鳥の声にでも耳を澄まそう。
お堂の脇には、旧道が伸びている。ときどき下草刈りくらいはされているようで、お堂周辺の木々も間引き伐採されているところをみると、近々園地として再整備されるのかもしれないな。
■ ツツジ群落のなかを行く
木ノ俣地蔵からさらに下っていくと、やがてr266と交差する。板室方面に行ってしまうとやがて那須街道の混雑に遭遇するので、ここからは木ノ俣園地方面(写真右方向)に向かおう。
沿道は、ツツジやサツキの花が鮮やかだ。
この時期、ヤマツツジ系を堪能するなら塩原方面に行くのが定番…と言われることが多いかもしれないが、なかなかどうして板室~百村のあたりも捨てたものではない。
花の密度はまあ、こんなものだけれども、天然ものの群落は生垣のような高密度にはならない。これが自然な那須の植生である。
■ 木ノ俣園地
やがて木ノ俣園地に到達。水遊びに興じている家族連れがちらほらと見えるが、まあ人口密度はこんな程度で、混雑というほどの混雑はない。
橋の上から見下ろすと、ヤマメが瀬に出ていた。調子に乗って水中カメラで狙いたいところだが、どうせ逃げられてしまうだろうからここは我慢(^^;) 見れば尾ヒレがピンと張った美しい魚体で、放流魚ではなく天然もののように思えた。
木漏れ日がいい感じなので、園地をいくらか散策してみた。
川のせせらぎの音を聞きながら、こういうところでぼーーーーーーっと過ごすのは、現代社会に疲れた者にとっては至福の時間ともいえる。出来れば昼寝スペースなんかがあると最高なのだが…いやそれは少々高望みのし過ぎかな(笑)
ここでは雑草もまた萌木色で、名前のよくわからない青い花が木漏れ日の中でいい感じに咲いていた。こういう小景も、なかなか味わい深いものがある。
さてここを過ぎると、いよいよ那須野ヶ原の平野部に出ることになる。急がず焦らず、ゆるゆるといってみよう。
・・・と、思ったけどいったんここで小休止。つづきはそのうち。
<完>