2024.02.23 窮乏のサンフランシスコ路(前編その1)




円安のサンフランシスコで窮乏旅行をして参りました♪


ちょこっと北米をチャリで走ってきたのでそのレポートをしてみたい。なんでこの時期にそんなところに行ったのかというと、リーマンショックで放逐された身の筆者もそこそこ新天地で地歩を硬めて勤続〇年休暇なるものを頂いたので、せっかくの権利をありがたく行使してきたのである。

サンフランシスコは前職の頃に出張で行ったことがあり、ちょうど桜の時期だったので街中が明るい雰囲気で満ち溢れていたのを覚えている。失われた30年などと言われて停滞している日本と比べれば、文明国であるアメリカ合衆国の都市文化はますます栄えてきっと華やかなのだろうと思ってみた訳だ。 実際に訪れた現地は思った以上にディストピア(ぉぃ)だったのだけれど、それも含めて雑感をレポートしてみたい。




ところで2月などという超オフシーズンに出かけたのにはいささか理由がある。実は筆者は休暇の権利を2021年に取得していたのだが、ちょうどコロナ自粛の時期だったのでずっと放置していた。するとついに人事から 「おい取得しないなら権利消失だぞコノヤロー」 と脅しがかかってしまい(何)、選択の余地なく慌てて取得したのである。

おかげで海外旅行には不向きな円安の時期と重なり、かなりケチケチ旅行になってしまった訳だがまあそこはそれ。 旅の日程は以下の通りである。

1日目:移動
2日目:湾岸チャリ旅行
3日目:市内チャリ旅行
4日目:移動


なんだよそれ! ……とか言われそうな気がするけれど(笑)、円安のうえに現地はトンデモな物価高なので贅沢はできない。まあタナボタ式に得られた休暇だし、とりあえず異国の風景を眺めることに特化して、ゆるゆると行ってみよう。




■北米への道




そんな訳で久方ぶりに成田空港に来てみた。日本は景気が悪いとか言われているけれど旅行客はそれなりにいる。カネ回りの良いところにはお金が廻っているらしい。




手持ちの円を米ドルに両替すると1ドル=153円という極悪な円安だった。旅行者に優しい1ドル=100円の時代が懐かしい。

ところで 「現金の両替なんて時代錯誤だよ、クレカ決済にすればいいじゃん!」 という方がいるかもしれないのでいくらか反論をしておきたいと思う。 実はドル圏のカード決済システムは認証ルートの相互接続が割といいかげんで、日本国内なら何の問題もなく使えるカードが蹴られてしまうことがある。 最後にモノを言うのはキャッシュ決済、ということを体感している筆者は必ず現金を持っておくことにしているのだ。




ということで、離陸したらひたすら寝て過ごそう。




フライトタイムはざっくり9時間。太陽を追いかけながら日付変更線をまたぐので初日の昼間はえらく長い。夕方6時に飛び立ったのに同じ日の午前10時に到着するという時刻トリック具合なので、飛行中に寝ておかないと初日は徹夜明けのブラック労働みたいな状況になる。




到着すると、サンフランシスコ国際空港はシンプルで機能的というべきか殺風景というべきか悩ましいスカスカ具合であった。アメリカの空港はどこもこんな感じで、テロ対策にやかましい割にどこか抜けている感がある。とりあえず空港から移動を始める前にスマホのWiFiルータ設定をして時計の時刻を合わせておこう。

同じ飛行機で来たお金持ちっぽい旅行者はホテル直通のリムジンバスで優雅に去っていった。筆者のような貧乏人は鉄道一択である。たかだか30kmの移動に2万円も払ってリムジンバスに乗るより、1500円の鉄道の方が圧倒的にリーズナブルだ。 庶民万歳、さあ行くんだ、その顔を上げて♪



 

■ BART




そんな訳で空港内の駅からローカル線に乗っていく。せっかくの異国旅行であるから、多少の冗長さは甘受して、まずはこの移動具合からレポートしてみよう。鉄道はBARTと呼ばれている。サンフランシスコ市街地では地下鉄だが都市部を離れると高架橋を走っており、踏切はない。




車体はこんな感じで、ガタイの大きな米国人が乗るには天井が低めだ。給電(なんと1000Vもある)はレールからとるそうでパンタグラフはない。




これに乗車するには CLIPPER なるプリペイドカードを購入してチャージしておく必要がある。このカードは市内交通の共通システムになっていて、名物のケーブルカーやバスもこれで決済する。サンフランシスコではとりあえずこれを持っていれば乗り物の問題は何とかなってしまう。




CLIPPER はおそらく旅行者にとって最初の試練?ではないだろうか。 まず無人の自販機でカードを発行し、所用金額をチャージする。たいした操作ではないけれど英語の通販サイトをポチポチするくらいのスキル(?)は必要だ。

注意すべき点としては、市内でケーブルカーに乗るつもりなら往復ぎりぎりの金額ではなく、いくらか余裕をみてチャージしておくことだろうか。市内にもチケット売り場はあるのだが係員の勤務態度はいい加減で不在のことも多い。最初にチャージしておくほうが何かと無難だと思う。




さて前置きはそのくらいにして乗ってみよう。 座席は最低限しかなく、混雑時には立っていけという漢の仕様らしい。 筆者が車内に入るとすぐさまドアが閉まり、うーよよよぉぉん・・・と加速が始まった。

走行音は意外に静かで揺れも少ない。聞けば昨年、車両の一斉更新が行われたのだそうで、どうやら筆者は最新のピカピカ車両に乗っているらしい。




高架橋から見る異国の風景は、日本の下町とはずいぶん雰囲気が違っていた。 白寄りのパステルカラーが多いのは、いわゆる西海岸風といわれるものらしい。本来のカリフォルニアスタイルは三角屋根の切妻スタイルなのだが、郊外には安上がりなフラット屋根(というかキューブ型)の意匠が多い。これがサンフランシスコの中心街に近づくにつれて、お金をかけた装飾の多い建物が増えていく。




そんな景色を見ながら google map をチェックしてみると、おお現在位置がちゃんとトレース出来ている。ローミングでこれをすると通信料がとんでもない金額になるので、現地回線に接続する旅行用WiFiルータは必携だ。とりあえずちゃんと機能はしているようで一安心。




空港を出発しておよそ30分で、サンフランシスコの繁華街パウエル駅に到着した。 こんなにあっさり移動できてしまうと 「リムジンバスの価値って何?」 という気分になってしまうな(笑)



駅から出ると、そこは掘り込み式の小公園となっていた。BARTはこのあたりでは地下鉄なので、駅も道路下にある。そこから見上げる市街地は、日本とは異なる意匠の建物群だった。

さて、とりあえず中心市街にやってきたぞ。ホテルに荷物を置いたら、さっそく周辺を探索してみよう。


<つづく>