2006.0304 大田原:ザゼンソウ群生地 (その2)
■玉藻稲荷神社
さて北金丸の座禅草群生地を出た後は、白鳥の越冬地である羽田沼方面に走ることにした。
……が、まっすぐ向かうのはやめて玉藻稲荷神社に立ち寄ることにした。 ここにも若干の湿地があり、ザゼンソウがあるかも知れないのだ。 ちょっと確かめてみよう。
ここは九尾の狐伝説の残る神社で、九尾の狐が蝉に姿を変えて木に留まっていたところ、池にその姿が写って正体がバレて討たれたという。殺生石伝説との整合性は?…とツッコミたい方もいるかもしれないけれど、常陸風土記に類似の話があるそうでそれと混ざりあったのでは…などと言われている。
さて今回は史跡探訪が目的ではないので、伝説に登場した鏡ヶ池とその周辺の湿地帯を見てみよう。
これが伝説の鏡ヶ池……なのだが、ずいぶん干上がってしまっているな(笑)
一応ここも湧き水ポイントなのだが、川として流れ出すほどの水量はなく、じんわりと湧き出した水が溜まっているといったところだ。
夏は草ぼうぼうだった湿地も水が干上がっている。奥に見える鳥居は狐塚である。
ここで足元をよく見ると……おお、あった、ザゼンソウだ。 こんなところにも健気に咲いているものだなぁ。
北金丸ほど有名でないここの群生地は、保護対策も何も行われず、自然のままに放置されている。 花の季節が過ぎてしまえばここにザゼンソウがあることに気付く人もいるまい。
おかげで北金丸のように木道で行動範囲が限定されることも無く、好きに近づいて撮りたい角度から自由に撮影できる。カメラマンにとってはありがたいことだな。
鳥居をくぐって狐塚も拝見てみた。冬場なので余計な草も無く、祠が良く見える。 ここは本来草深いところで、夏になると歩くのにも一苦労なくらいの雑草に埋もれてしまう。 祠の全体像を確認できるのはこの時期くらいのものだろう。
狐塚の本体は祠ではなく、その裏側に50cmほど盛り上がった塚である。現在ではぎりぎりまで水田で削られて見る影もないが、この塚こそが稲荷社の社殿より実は何倍も価値がある。ここは九尾の狐伝説の終焉の地としてのシンボル的な存在なのである。大田原市の教育委員会にはこういう史跡こそちゃんと保護してほしいものだな。
さて座禅草はこのへんにして、次は白鳥のいる羽田沼を目指してみよう。
<つづく>